登場人物の縦糸の過去の時間と人生、加賀恭一郎に結びつく横糸の濃密な人間関係が、殺人事件の緊密に絡んだ謎を解きほぐす本格的な刑事もの…

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  福澤克雄監督阿部寛松嶋菜々子 演じる祈りの幕が下りる時・・・この映画をもう見た?まだ見ていないの?

東京都葛飾区小菅のアパートで、滋賀県に住む40代女性・押谷道子の腐乱遺体が発見された。アパートには越川睦夫と名乗る男性が同居していた形跡があった。さらに事件は、焼死事件の現場に近い新小岩の河川敷でホームレスの焼死体が発見される。押谷道子の腐乱死体と焼死体事件から、警視庁捜査一課の刑事たちが事件の解明に動き出す。加賀恭一郎(阿部寛)が子供時代に失踪した母・田島百合子(伊藤蘭)が、彼女が失踪後に勤めていたスナック「セブン」の客で、女川原発の作業員ジプシーで、彼女の恋人・綿部 俊一(小日向文世)が捜査線上に浮かぶ…。3本目は、明治座世の舞台演出家の浅居博美(松嶋菜々子)などの登場人物の縦糸の過去の時間と人生、加賀恭一郎に結びつく横糸の濃密な人間関係が、殺人事件の緊密に絡んだ謎を解きほぐす本格的な刑事もの映画『祈りの幕が下りる時』(2017年、福澤克雄監督、東野圭吾原作『祈りの幕が下りる時』、李正美脚本、主題歌 - JUJU「東京」)でした。

私は刑事もののTVドラマも映画も大好きです。はみ出し者の若手刑事・青島俊作役を織田裕二が演じる湾岸署刑事課強行犯係の『踊る大捜査線』(フジテレビ系)シリーズは、あのカーキ色のコートが印象的でした。老齢な刑事役の和久さん演じるいかりや長介の渋い演技がよかったですーネ。一時期を風靡した刑事ドラマの傑作でした。田村正和が演じる古畑任三郎』(フジテレビ系)シリーズもまた、刑事コロンボとシャーロックホームズを足して2で割ったような独特の日本的なパーソナリティーと、犀利な推理を巡らす癖のある口癖とイントネーションは面白い刑事ドラマでした。依然、続編と映画版が制作されている息の長い水谷豊が演じる杉下右京の『相棒』(テレビ朝日系)シリーズは、未だに視聴率のある人気番組のようです。刑事ものドラマが、単に殺人事件の謎の解明ばかりを追いかけるのではなくて、事件そのものが警察組織の軋轢や権力闘争や、金銭欲や名誉力や権力欲を貪欲に求める政治家の絡んだ政治性や、その時代の裏側の経営者や民衆の欲望の影の産んだ社会的な問題を孕んだ「作品とテーマ」が多くなりました。刑事役に女性が活躍する雪平夏見役の篠原涼子の『アンフェア』(フジテレビ系)シリーズもユニークなTVドラマでした。何よりも、刑事そのものの内面性が描かれる警視庁捜査一課殺人犯捜査係に配属される姫川玲子役の竹内結子演じる『ストロベリーナイト』シリーズも面白かったですーネ。刑事その本人が若い時にレイプされた犯罪被害者であり、事件そのものの影を引きずっているパーソナリティーという独特の性格を持ている。阿部寛が演じる加賀恭一郎が一貫して主役の『新参者』シリーズもまた、犯罪の影に人間の悲しい運命を感じさせる刑事ものになていますーネ。私は、久々に作品に没入して楽しめました…。