戦争を体験した日本人の心の底にわだかまった悲しみと痛みの「澱」は戦中戦後世代の心情に依然燻ってます・・・!!!


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滝田洋二郎監督吉永小百合堺雅人演じる北の桜守・・・この映画をもう見た?まだ見ていないの?

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3月の第1本目は、吉永小百合の主演で、北海道の大地を舞台とする北海道の厳しい自然に生きる戦中戦後の人々を描いた人間ドラマ&戦争映画『北の桜守』(2017年、滝田洋二郎監督)でした。明治期の北海道開拓を描いた『北の零年』(2005年公開、行定勲監督、那須真知子脚本)、戦後の混乱期の影を落とすソ連領となった極寒の離島の分校を描いた『北のカナリアたち』(2012年、阪本順治監督、那須真知子脚本、原案湊かなえ)に続く「北の三部作」シリーズの第3弾です。私は早速公開初日に見に行きました。

1945年ソ連軍が侵攻してきたために、敗戦濃厚な戦況の8月に、父親・江蓮徳次郎(阿部 寛)の出征によって樺太で暮らす江蓮てつ(吉永小百合)と2人の息子、長男の正太郎?、次男の修二郎は、ソ連戦闘機の爆撃と射撃によって、樺太の故郷を捨て雪に埋まる極寒の大地を飢えと疲労と寒さの中を歩き続け、親戚の住む網走まで身一つで逃げるストーリです。網走でも貧しさと空腹で辛酸を舐め尽くす戦後を経験した・・・。長男の征太郎は樺太から本州へ渡航する船の沈没に巻き込まれて水死する、それが「てつ」の記憶の中でいつまでも戦争のトラウマとなって苦しめていた...。1971年、アメリカで成功を収め、社長の娘を妻に娶った真里(篠原涼子)とともに、次男の修二郎(堺雅人)は夫婦で日本初のホットドッグ店の社長として帰国する。

戦中戦後の日本人が等しく味わった戦争による堪えがたい苦痛・・・、外地の戦場で、敗戦後にはシベリアの抑留地で身内を戦死させた悲しみと、家を焼かれ食べるものもない内地の飢餓と不安は、この作品の通奏低音ですーネ。吉永小百合さん、堺雅人さん、滝田洋二郎監督有り難う・・・!!!戦争を体験した日本人の心の底にたまっていた悲しみと痛みの「澱」のような戦中世代の心情をよく表現してくれてありがとう・・・!!!戦後まもない昭和世代の自民党議員にはまだ多少、多くの日本人を犠牲にした…という痛恨と懺悔と、「あんな戦争は二度と味わいたくない…」という苦渋の体験と後悔が多少ありました。が、今の2世議員、平和を政治理論で語り、武力均衡論で論じるパワーゲームの政治家には、この日本人の共有する「痛恨」がなくなりましたーネ…!!!

一番気になったのが、映像シーンの途中で舞台の上で、江蓮てつの周辺の人間や椅子やテーブルなどの小道具が、シルエットのように現れ、映像が中断される挿入の舞台シーンです。これは、「てつ」の心象風景を舞台で表現しているようです。それは、てつが行方不明になった時に、雨の降りしきる桜の木の下で、樺太の「江蓮製材所」の近くにあった北国で初めて咲いた記憶に残る満開の桜の木の下、傷ついた桜の幹に糊に溶かした墨を塗りこんでいた姿を見つけるた時にー、そして、疲弊したてつを病院に担ぎ込んだ時にこの舞台風景が現れました…。てつの記憶の中の戦争の傷の「心象風景」を幻想的に演出しているようですーネ。えー、滝田洋二郎監督は舞台演出もするのかーナ、とそのマルチな才能に驚きましたが、これはケラリーノ・サンドロヴィッチ(劇団「 ナイロン100℃」主宰。 本名は小林 一三)の舞台演出だったようです。私の印象では、映画のストーリをブツブツと寸断する舞台風景の挿入によって、映像から喚起されるカタルシスを壊してしまう気がしました・・・。それとーね、舞台の上で立つ白い服を纏った俳優たちの合唱団の姿は、些か興ざめました。あのあの白装束の演出は、前衛演出家を衒った舞台演出家らしいダサイ過剰なワンシーンでした。
 
もう一つ気になったのが、次男の修二郎が妻・真里と共にアメリカから帰国して、生き残った網走時代の人たちの無事を感謝するのに、修験道のように長い急な階段を上り、鎖につかまりながら険しい坂道と断崖の岩を攀じ登って、その先の山頂にあった小さな祠へ参拝するシーンがありましたーネ。あのロケ現場は何処かな…???意外と私は神社やお寺や墓地が好きなんで、私も参拝したいと感じ、あちこちネットを探しましたが分かりませんでした。日本全国彼方此方に点在する、古く神道の源流とも言われ、古事記では伊邪那岐命伊邪那美命天照大御神の次に産んだ弟の「月読命」を祀った神社の大元とされる。イザナギの右目から生まれた「月読命」、もう片方の左目から生まれたのが「天照大神」、鼻から生まれたのが「須佐之男」でした。長崎県の海の沖にある由緒あるある離れ島の「壱岐」を訪れたこともあるモノ好きなので、あの映画に刺激されて、是非一度参拝したくなりました。

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