日本人監督として21年ぶりに受賞した第71回カンヌ国際映画祭「パルム・ドール賞」の舞台がTVニュースで大々的に宣伝されていたので、どんな作品なのか...、私はかなり期待して映画館へ見に行きました。

イメージ 1

是枝裕和監督、樹木希林リリー・フランキー安藤サクラが演じる疑似家族の映画万引き家族・・・この映画をもう見た?まだ見ていないの?

老婆初枝(樹木希林)のたった7,8万円の年金を頼りに生活する柴田治(リリー・フランキー)と息子役の祥太(城桧吏)、妻のような役割の信代(安藤サクラ)と妹役の亜紀(松岡茉優)、近所のマンションのベランダで薄着で寒さに震える、ネグレクトされていた5歳の女の子じゅり(佐々木みゆ)など、6人の擬似家族柴田家が一緒に生活する。親子は時々スーパーで食料品を盗み、子供たちは駄菓子屋でお菓子を万引きする不思議な家族でした。日雇い仕事の建築現場で働く父・柴田治、クリーニング工場で働く信代、風俗店で男たちに裸を見せて稼いでいた亜紀たちは、わずかな収入で一家を支えていた。4本目は、死んだ親の死亡を隠して年金を不正受給していた家族の事件に着想を得たという是枝裕和監督の『万引き家族/SHOPLIFTERS』(2018年、是枝裕和監督)は、既に日本公開前に今村昌平監督作品「うなぎ」(1997年)以来、日本人監督として21年ぶりに受賞した第71回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞」の舞台がTVニュースで大々的に宣伝されていたので、どんな作品なのか...、私はかなり期待して映画館へ見に行きました。

擬似一家の子供たちは、パチンコ屋の駐車場で蒸し暑い車内に置き去りにされていた子供を助けて連れ帰った祥太、激しい夫婦喧嘩の堪えないマンションの外のベランダで一人育児放棄されていたじゅりたちの存在もまた、日本国内で起こった子供の受難と犠牲になった過去の事件にヒントを得たものでした。いやてや、私はそれがあまりに安易な映画製作の手法だというのではなくて、寧ろ、私には山田洋次監督の『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III』シリーズの根幹のテーマ…近代の「家」制度、現代の家族形態…男女の二人の夫婦と血縁で結ばれた子供が構成する家族制度、「核家族」、「無縁社会」を超える続編のように思えてなりません。

でもしかしながら・・・、6人の擬似柴田家は最後に解体されます。誘拐された、或は虐待の末に殺されたーと騒がれた「じゅり」は元の夫婦に返され、祥太は養護施設に収容され、信代は誘拐や死体遺棄によって懲役5年の刑で投獄され、布団の中で老死した一家の長老初枝を埋めた死体は警察によって掘り返された。現代の憲法と法律体系の中で、擬似形態の「家族」はバラバラに解体された。私としては、未来に開かれた「家族」形態は、残念ながら解体され先に、希望のかけらもなく閉じられてしまった…とやや失望しました。