在日朝鮮人の戦後日本の慟哭の映画『焼肉ドラゴン』です。

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鄭義信監督、父親の龍吉と母親の英順と、一人息子時生と3人の娘たち、真木よう子井上真央桜庭ななみ演じ在日朝鮮人の映画焼肉ドラゴン・・・この映画をもう見た?まだ見ていないの?

7月の邦画1本目は、1970年代の日本、在日朝鮮人の集落、大阪国際空港横の伊丹市中村地区の朝鮮人部落を舞台とした、バラックの小さな焼肉屋「ドラゴン」の一家、父親の龍吉(キム・サンホ)と母親の英順(イ・ジョンウン)、一人息子の時生(大江晋平)と3人の娘たち・・・、長女の静花(真木よう子)、梨花(井上真央)、美花(桜庭ななみ)を描いた在日朝鮮人の戦後日本の慟哭の映画『焼肉ドラゴン(2018年、鄭義信監督&脚本)でした。

内容を知らずに見始めたのですが、題名からのイメージで、ジャッキーチェン主演のカンフー映画カナ…それもコメディーぽい作品かな…と思ていましたが…、想像に反して日本での朝鮮人差別・・・、息子が学校で虐められて自殺した時に在日朝鮮人の生きるための決意を、龍吉はこう言う「私たちは日本でしか生きる場所がないんだ、ここで生きるしかないんだ・・・」という在日朝鮮人の抱える不退転の立場、戦争中に朝鮮半島から労働力として強制連行された結果、二世三世の家族が生まれているので、日本人と朝鮮人の国籍とアイデンティティーの問題とか、北朝鮮渡航する船に乗船して元々の民族の故郷に帰る在日朝鮮人の戦後をシリアルに描いていました。

日本文化は、差別に関して歴史の底流に暗黒のアポリアを幾つか抱えています。その一つが戦後の朝鮮半島との関わりであり、在日朝鮮人差別の問題であり、歴史をさかのぼると実態がつかめなくなる部落差別の問題、今新たに見えない次元の「貧困」による差別が埋まれているだろう…カナ。

焼肉ドラゴン』を初め映画館で観た時に脳裏に映画『血と骨』(2004年公開。ビートたけし主演。崔洋一監督、鄭義信崔洋一脚本)を浮かべました。1930年代の大阪を舞台に、済州島出身の朝鮮人・金俊平(キム・しゅんぺい)を主人公に巨漢と暴力によってのし上がった男の波乱万丈の映画でした。掘っ立て小屋が並ぶ朝鮮部落のセットがよく似ていました。

この作品は、日本の新国立劇場と韓国の芸術の殿堂にて、在日3世の鄭と梁正雄の演出により2008年に両劇場で上演された。その後韓国と日本で映画化された…ものです。これまでの『血と骨』や『月はどっちに出ている』では脚本を書いていたが、この作品では鄭義信は初監督を務めている。日本の戦後史の歪みを逆照射するような在日朝鮮人問題への並々ならない決意が見えました。

率直に行って私はこの作品の登場人物の一人、美花役の桜庭ななみがどんな演技をするのか見たかったのです。時代劇の『最後の忠臣蔵』(2010年、杉田成道監督)で大石の隠し子役可音を演じた女優だが、成熟した朝鮮の女を演じていたのは予想外でした。恋人はいるのかな…どんな男に抱かれたのかな…日本の映画界にはパワハラの噂がないけれども、映画監督かな???

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