救急搬送・救急救命など救急医学の重要性とERの体制整備が、日本では遅れている、この人気TVドラマも日本の救急医療の現状をリアルに描いてます。

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7月2本目に紹介する作品は、今現在も再放送が頻繁に放映中のTVドラマの映画化『劇場版コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救(2018年、西浦正記監督、安達奈緒子脚本)でした。いつもの救急救命のメンバー、藍沢耕作役の山下智久、白石恵役の新垣結衣、緋山美帆子役の戸田恵梨香、冴島はるか役の比嘉愛未、藤川一男役の浅利陽介らが出演する医療ドラマです。
全国で出演メンバーが映画の公開前に宣伝のイベント活動を各地で精力的に開き、テレビ番組でもゲストに山下智久が出演したり、「コードブルー」の番宣を流し、再放送のTVを盛んに放送している。流石にフジテレビのテレビドラマを専門に手掛ける演出家だけあって。可なり力を入れてますーネ。私は公開初日に見に行って客席を見まわしたが、横浜市都筑区の映画館は、まああまの混み具合でした。

ただこの映画を映画を楽しむ娯楽としてならばいいのですが、映画にそれ以上のものを求めるとするならば、物足りないだろう―ナ。

人気TVドラマを今更、「映画化する必要があるのか…???」などという愚問は取りあえず控えましょう。ましては「アイドルの出演する映画に何の価値が有るんだ…!!!」などという嫌悪感は、まずは脇に置いておきましょう。ただ、私はこの作品を純粋に「医療映画」として論じて評価したいです。果たして、この映画は、日本の「医療映画」の核心をテーマとしているのだろうかな…???勿論、日本の医療にとって、アメリカ・欧州と同じく高齢化社会を迎えている現状では、在宅の高齢者が突然、脳梗塞脳出血心筋梗塞や心臓疾患で倒れることは頻発しています。まして、東日本大震災熊本地震、近頃の高知、鳥取、広島、岡山、京都、兵庫、愛媛など西日本を襲った異常気象による豪雨災害をはじめ、地震、台風、津波等、多くの自然災害が頻発していますので、尚更に救急搬送・救急救命など救急医学は重要性を増し、ERの体制整備が急がれています。それらが日本では遅れている故に、喫緊の問題ともなっていることは十分に認識しています…ヨ。このTVドラマの人気もこうした日本の救急医療の必要性と遅れを心配するからかもしれません。私たちもいつ救急医療のお世話になるか知れません…ネ。

映画は、明日の現実と悲劇と喜びと笑顔を映す鏡です。邦画でも洋画でもたくさんの医療映画が制作されました。DVD特選映画というタイトルで、以前「医療の映画」の名作傑作と私が独断的に評価する医療分野の作品をDVDで観賞してコメントを書きました。洋画邦画に分けて、洋画では、「レナードの朝」(1990年公開。 ペニー・マーシャル監督)、「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年公開。監督:ジョージ・ミラー 。脚本:ジョージ・ミラー、ニック・エンライト )、「パッチアダムス」(1998年公開。トム・シャドヤック 監督)、「シッコ」(2007年公開。マイケル・ムーア監督)、「ジョンQ -最後の決断-」(2002年公開。ニック・カサヴェテス監督)、「小さな命の呼ぶとき」(2010年公開。監督:トムボーン。脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス 原作:ジータ・アナンド)、「コンテイジョン」 (2011年公開。スティーヴン・ソダーバーグ監督」・・・等がありました。どの作品も私が秀作と認めた名作傑作です。 

邦画では 「赤ひげ」(1965年公開。黒澤明監督。山本周五郎原作『赤ひげ診療譚』。小国英雄他脚本)、「白い巨塔」(1966年公開。山崎豊子原作、山本薩夫監督。橋下忍脚本)、「華岡青洲の妻」(1967年公開。有吉佐和子原作。増村保造監督。新藤兼人脚本、震える舌」(1980年公開。 野村芳太郎監督)、「孤高のメス」(2010年公開。成島出監督。大鐘稔彦原作。加藤正人脚本)・・・等を鑑賞しました。
 
洋画邦画含めて約11本以上の«医療の映画»を比較した時、『劇場版コード・ブルー』は、どんなコメントと評価が下せるだろうか・・・ナ???すでに書いたように日本の救急救命の必要性と整備不足は承知の上で続けます・・・。

映画のシーンは幾つか盛り上がりがありました。まず初めに、成田国際空港に航空機が緊急着陸する事故現場がひとつ発生しました。成田国際空港の事故現場に、翔陽大学附属北部病院救命救急センターのドクターヘリと救急救命医が急行する。既に日本へ帰国していた、脳神経外科専門医の藍沢耕作が成田空港から直行して診察を始めていた。更にその後で、東京湾の海ほたるに巨大なフェリーが衝突するという事故が連続して発生する。この二つの大事故の負傷者の救命活動から派生した医学問題がいくつかのトラブルシーンが挿入されていました。この事故で、海面に落下した14歳の男の子が亡くなって死亡が確認されました。その子は体内に臓器提供の意思表示のカードを持っていて、未成年なので親の承諾があれば、臓器提供することができました・・・。これは、救急救命とはまた別個の、日本の医療が遅れている「臓器提供」の問題を扱ったエピソードでした。ただーネ…、肉親の「死」と、善意の「臓器提供」の問題を、涙ぐんだ人情劇で描いただけで終わっちゃった―ヨネ。結局、本当の「臓器提供」の核心の問題を抉っていなかったーナ!!!

日本は既に「皆保険制度」が整っているので、「ジョンQ -最後の決断-」のような作品は恐らく生まれないですーネ。寧ろ日本では臓器提供」が漸く始まったばかりでかなり遅れているので、反対にハリウッドの「孤高のメス」のような作品は製作されないでしょうーネ。公害がアメリカで社会問題になったとき、企業利益を優先する株式会社と、環境問題や地域汚染と戦う市民運動の映画は盛んでした。巨大医療システムを牛耳じって、市民の生活する権利と生存権を崩壊させる高額医療費の請求に対して、独占的な医療企業へ抵抗する作品もたくさん生まれましたーネ。それに反して、邦画では、「赤ひげ」に繋がるような、日本の医療制度と日本医師会に対して社会福祉予算の金額に占める医療費の中の高騰、患者への過剰な投薬や無駄な治療や不必要な検査や患者には目隠しされた医療費の請求細目など、様々な矛盾を抉り出し、抵抗するような作品が生まれないですーネ。

例えば、私自身近くの個人病院で糖尿の薬を処方してもらっていましたが、インシュリンの投薬がなくても長い間「在宅医療費」を3000円余り請求されていました。別の病院に移って初めてインチキな請求と分かりました。糖尿で通院している方は注意してください・・・!!!

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