瓜生新兵衛役岡田准一の一刀流の流派が余りに流麗可憐で、現実離れのしたまるで舞踊のような剣さばきで、いくら「時代劇」とは言え嘘っぽく見えました…

木村大作監督岡田准一麻生久美子演じる散り椿・・・シネマ・コメンテータの流石埜魚水です。この映画をもう見た?まだ見ていないの?
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藩内の一刀流平山道場で剣豪の四天王と言われた扇野藩の勘定方・瓜生新兵衛(岡田准一)が、商人から賂を受けていた藩の重鎮・家老の石田 玄蕃を告発した。3本目は、藩の不正を暴こうとしてた結果、妻・篠(麻生久美子)とともに藩を負われ故郷を放逐された剣客・瓜生を主人公に、篠を奪い合った恋敵でもあった榊原采女(西島秀俊)を巻き込んだ藩内の権力騒動を描いた時代劇『散り椿』(2018年、木村大作監督、葉村麟原作、小泉堯史脚本)でした。地蔵院に妻・篠と身を寄せていた瓜生新兵衛が篠の病死を機に帰郷する。藩の権力争いと内乱が瓜生周辺で再燃する。

私は時代劇小説も時代劇映画大好きです。特に、山本周五郎のファンは、現代の普遍的なテーマ、家族的な愛屋や夫婦愛や病気・貧困を描いているので、決して古い昔のドラマではあるが、今でも共通ストーリが多いので、今なお時代劇ファンは根強いですーネ。久々の本格時代劇映画なので、どんな作品なのかと私も期待してみました。昨今特に、劇画の映画化ー、或は劇画の様な荒唐無稽のスーパー侍が主人公の「漫画時代劇」が多いので、尚更に期待していました。

私は、旧い作家としては池波正太郎原作の中村吉右衛門演ずる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の「鬼平犯科帳」シリーズ全26巻や、藤田まこと演じる秋山小兵衛の「剣客商売」シリーズのDVD全22巻は全巻見ている程の愛好家です。もう一人、時代劇小説家と言えば矢張り司馬遼太郎の数々の名作に酔いしれた人は多いでしょうーネ。長編ではあるが『竜馬がゆく』や『菜の花の沖』などに耽読したひとも少なからずいたでしょう…ヨ。次世代の時代劇作家としては、私は火坂雅志山本兼一浅田次郎藤沢周平乙川優三郎冲方丁、池宮 彰一郎などなどの原作の時代劇映画は、本も映画も必ず見ています。特に最近は、磯田 道史などの原作・脚本は単に腰に刀を差し剣を振るう幕臣のサムライの一面ではなくて、『武士の家計簿』など地方の藩内の算盤や料理などを専門とする侍が主人公になってマス。

葉室麟もまた次の世代の時代劇小説家です。木村大作が映画化した彼の時代小説は、藤沢周平に継ぐ独特の雰囲気を持つストーリ―テイラーの時代小説家です。葉室麟の『蜩ノ記』(2014年公開、小泉堯史監督、役所広司主演)は私も時代劇映画の白眉として以前観賞して感動した記憶があります。

七人の侍』『蜘蛛巣城』『用心棒』『椿三十郎』など時代劇作品も多く製作・監督した巨匠黒澤明の撮影助手として活躍した、伝説さえ持つ木村大作が自ら監督として製作した初監督作品『劒岳 点の記』(新田次郎原作、木村太郎監督&脚本、2009年公開)は、第33回日本アカデミー賞で最優秀監督賞を初め数々の賞を獲った秀作でした。私も登山が好きなので、公開された時には真っ先に映画館に行きました。

黒澤明監督の数々の時代劇映画の制作にもタッチしていた木村大作監督が第2作目作品は初時代劇映画を監督しました。さてさて、どうだったろうか…ナ???まず原作小説の葉室麟の『散り椿』は一言で言うと藩内のお家騒動です。江戸時代の3大御家騒動と言えば加賀100万石の外様大名加賀藩の「加賀騒動」、仙台藩の「伊達騒動」、出石藩の「仙石騒動」、福岡藩黒田家の「黒田騒動」が有名ですーネ。「伊達騒動」は、当時は歌舞伎『伽羅先代萩』として上演され、山本周五郎の小説&映画『樅ノ木が残った』の舞台ともなっています。藩を牛耳り藩を乗っ取ろうとする権力者と不正を正そうとする正義感あふれる若侍や伝統的な既存の権力の奪い合いは、テーマとしては手垢のついたチョット月並みなストーリと言えませんかーネ。古い江戸時代の藩の権力争いのテーマでは、いくら時代劇とはいっても古色蒼然で退屈でした。私は原作ストーリの選択ミスだと思っています。それともう一つ、主演の瓜生新兵衛役岡田准一一刀流の流派が余りに現実離れのした、まるで舞踊なような流麗可憐な剣術の姿は、いくら偽物の模造刀による「時代劇」とは言え嘘っぽく見えました…。黒澤明監督ならば、真剣の人きり包丁を使った、血しぶきの飛び散る刀の斬りあいはこんな美しい舞踏の様な仕草では到底ないよな…と感じました。噂に寄ると殺陣そのものが岡田准一が演出したようです。チョット肩に力が入り過ぎて、格好よすぎる…と思いました。もつと無様で格好悪い浪人でいいのですーヨ。