率直に言って、私はこの映画のテーマは「何なのか?」良く分かりません…。

佐向大監督教誨師役の大杉漣演じる教誨師・・・シネマ・コメンテータの流石埜魚水です。この映画をもう見た?まだ見ていないの?
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今回取り上げる作品は、教誨師・佐伯(大杉漣)を主人公に、6人の死刑囚たちと刑務所内の密室の面会室のテーブルを挟んで、個人個人の過去や生活に沿った会話を重ねながら、何時死刑がきまり、絞首台の板に乗り、手足手首を縛られ顔に布を被されて、縛り首のローブに吊るされるかもしれない「死」の瞬間に怯える…死刑囚の存在と時間を共有する教誨師を描いている。邦画にも死刑囚や、死刑囚に聖書を祈る牧師の洋画もありました。殺人など何ともない思わない極悪非道のギャングに死の恐怖と罪の深さを解く教誨師のドラマもありました、死刑囚の苦悩を共有する信仰の篤い女性が結婚するドラマもありました。今回取り上げる作品は、死刑囚と教誨師の作品とはまた違った移送の映画で、これまでの彼らの死への不安と罪への後悔などの言葉に耳を傾けて安らかな死へ導く、キリスト教の牧師の心の救済のストーリで、死刑囚に手を差し伸べる教誨師と死刑囚とのマンツーマンの濃密な会話を描いた死刑囚映画『教誨師(きょうかいし)』(2018年、佐向大監督&脚本)です。6人の死刑囚は高宮真司(玉置玲央)、野口今日子(烏丸せつこ)、進藤正一(五頭岳夫)、小川一(小川登)、鈴木貴裕(古舘寛治)、吉田睦夫(光石研)等が登場しました。

それぞれ6人の罪と過去が牧師・佐伯の過去の記憶と交差するのがこの映画の深淵だろぅな…。6人それぞれの過去よりも何よりも、佐伯の少年時代のある出来事の過去と牧師になった理由がこの映画の真相のテーマの闇のように見えます。

少年時代の佐伯兄弟の母は子供を捨てて別の男と再婚する。ある日河原で再婚相手とその息子が河原で魚を焼いていた時に、その男の息子が佐伯兄弟と母に対して侮辱的な言葉を発したため、佐伯保は男の息子を殴るのだが、逆に再婚相手の男は馬乗りになり佐伯を殴り始める。それを見た兄は河原の石で何度も男の頭を石で叩いた。その結果、兄は少年院に入り自殺した。後々、佐伯は牧師になる道を選んだ・・・。それが、死刑囚以上の深き悩みを抱えた牧師の闇でした。確か、フロイドの精神分析に「メサイヤコンプレックス」という用語がありました。

2018年2月21日に急逝した名脇役大杉漣が主演、エグゼクティブプロデューサーも務めたこの作品は漣さんの最後の姿でした。とはいえまだ未公開の彼の映画が残されているようです。ヤクザが性転換&全身整形をして、芸能界にデビューする極道アイドルコメディに大杉漣さんが友情出演する「Back Street Girls」という作品が来年2月頃に公開が予定されているようです。大杉漣ファンにとっては、楽しみですーネ。

平成元年の坂本弁護士一家殺害事件、平成6年の松本サリン事件、平成7年の地下鉄サリン事件など、世間を驚嘆させた数々のセンセーショナルな事件を引き起こして、オーム教団によって29人が死亡、およそ6500人が被害に遭ったと言われています。丁度、このオーム真理教のサリン事件に関与した死刑囚が上川法務大臣によって死刑執行を承諾する文書に判を押され7人、その後6人が続けて2回にわたって13人の死刑が執行された時期であったので、映画自体はそのニュースからかなりインパクトを受けました。

私など天皇陛下が来年4月30日に退位され、皇太子さまが5月1日に即位されることが正式に決まったので、天皇即位の恩赦によってオウム真理教死刑囚たちの刑罰が軽減されることを恐れて、その前に死刑が急いで執行されたと思いましたーがネ…。

刑事裁判による「冤罪事件」も含めて、日本の死刑制度と死刑執行の方法「絞首台」には、いろいろな問題が議論されています。ただ、この映画は死刑制度廃止を問題にしている作品ではないよな…。人を殺したら死を持って償う死刑の犯罪抑止の効果をと凶悪犯罪の撲滅を狙った作品でもないだろうーナ。率直に言って、私はこの映画のテーマは「何なのか?」良く分かりません…。

その日、死刑執行が実行されたのは、学生運動家の闘志のような青年でした。つまり社会体制を守るために、政治的断罪と言う「死刑制度」の陰の役割をカッコに入れて、死刑囚に死の安息を解く「教誨師」は偽善ではないか…の問いを投げかけているのではないかと、私は誤解を恐れ乍ら解釈したです。皆さんはどのようにこの作品を鑑賞しましたか???