鹿野のムチャクチャな買い物に憤慨した美咲が「障害者ってーそんなに偉いのかよ…」と捨て台詞をはく本音に、高畑充希の演技力に大喝采を送ります。


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前田哲監督大泉洋高畑充希三浦春馬演じるこんな夜更けにバナナかよ/愛しき実話・・・シネマ・コメンテータの流石埜魚水です。この映画をもう見た?まだ見ていないの?

12月下旬の1本をアップロードします。いよいよ年末です、これで映画も見納めです。今年最後の締めくくりに相応しい作品が登場しました。「筋ジストロフィー」の障害者の映画です。介護なしにはコップ一杯の水さえ、一口のご飯さえ食べられず、筋肉が次第に衰えて呼吸器不全で亡くなる遺伝的な不治の難病「筋ジストロフィー」に罹りながら、大勢の献身的なボランティアの協力と支援で、例えば英検2級合格を目指して英語を勉強したり、障害者でも自立して積極的に生活するアメリカの提唱者に会いに渡航したいとか、体の不自由さをものともせずに自分の夢や欲望にまっすぐに生きる実在の人物・鹿野靖明(大泉洋)の、2002年に亡くなるまでの20年余りの凄絶な生涯を描いた病気療養映画『こんな夜更けにバナナかよ/愛しき実話』(2018年、前田哲監督)でした。

筋ジストロフィーと言えば「車いすの物理学者」のスティーヴン・ホーキングが有名ですーネ。鹿野役の大泉洋は、ボランティアの介助なしに一分でも生きられない障碍者にもかかわらず、病院のベッドに縛られず、医者の拘束と治療に干渉されずに、自宅のベッドと車椅子で過ごす生活を送っていました。それは、周囲の善良な親切を巻き込み、その憎々しい態度と無理難題の注文と風船ガムのように言葉が大きく膨らみ弾ける夢と希望を持っていた…。ボランティアの一人で、病院経営者の息子で北海道の医大に通う田中(三浦春馬)と、彼が紹介した彼の恋人役の新人ボランティアの美咲(高畑充希)がこの映画を盛り上げていますーネ…。「こんな夜更けにバナナかよ」というタイトルも、真夜中にバナナが食べたいと気まぐれに言い出した鹿野の食欲を満足させようと、深夜のコンビニを走り回る美咲が憤慨して、「障害者ってーそんなに偉いのかよ…」と捨て台詞をはく…、普通の女性、ことに若い女性にとっては憤慨してあたりまえの本音から来ています。この高畑充希の演技に大喝采を送りたいですーよ。

年末のこの時期は「日本アカデミー賞」狙いの名作秀作が陸続と公開されます。この映画ブログでも紹介した『人魚の眠る家』も、私は間違いなく最優秀作品賞や監督賞、 最優秀 主演女優年の賞や男優賞を獲得する名作秀作の1本ですーネ。いま私が迷っているのは、『こんな夜更けにバナナかよ/愛しき実話』が2018年のこれらの最優秀賞に値する名作秀作の1本にに値するのではないのかな…と、思われることです。

ただね…。映画のラスト30分のシーンかな、お涙頂だいのシーンとハッピーエンドの締めくくり方がやや不満でした。私は映画の真価の基準として、作品の初めと終わりに注目しています。・・・そんなに障害者って、偉いのかよ、という美咲の言葉は、衝撃的でした。それに対して締めくくりのシーン…、もう一度大学入試に挑戦、美晴は無事に教育学部に合格、念願の学校の先生となって終わります。田中は医学部に復学して北海道の僻地の診療に励み、2人はハッピーに結婚する…。目出度しめでたしでしたーネ…!!!でもね、そんなに人生甘くないぞ…私は不満でした。