人と人との温かい出会いがいかにもロードムービらしい映画でした。うーん、これは今まで私の見た「ナチズムとホロコースト」の映画とは一味違った作品でした。

新春に紹介するイメージ 1映画は、アルゼンチンのブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立屋・アブラハムが主人公です。70年以上会っていないポーランドマドリードに住む命の恩人に自分が仕立てたスーツを渡そうと旅立つロードムービ『家へ帰ろう』(2017年年、パブロ・ソラルス監督&脚本)でした。

老いたユダヤ人のアブラハムの、教師だった母と仕立て屋の父と11歳の幼い妹は、自分の眼の前で殺される惨いホロコーストの歴史の体験者でした。助けてくれた命の恩人に自分が仕立てたスーツを手渡す約束を果たす為に、ブエノスアイレスからドイツの土地を踏まずにポーランドのウッチまで旅をする…。最後に出会うシーンは感動的でした。この作品は大変地味ですが「ナチズムとホロコースト」の映画でもあります。

この映画は「ロードムービ」で、アブラハムマドリード、パリを経由して目的地に向かう途中さまざまな人と出会います。機内で隣席にいた青年、スペイン・マドリード空港到着後に出会ったホテルの女主人、列車でワルシャワに向かう途中に出会った人類学教授のドイツ人女性、電車で体調を崩し倒れた彼を介抱して、旅の目的地であるウッチまで車いすを押して同行する看護婦・・・など。収容所で右足を悪くしたアブラハムに手を差し伸べる人たちとの出会いは通り一本のロードムービではなく、また、人と人との温かい出会いがいかにもロードムービらしい映画でした。うーん、これは今まで私の見た「ナチズムとホロコースト」の映画とは一味違った作品でした。