かつての「東映」のヤクザ路線の邦画文化を彷彿とさせる独特の、懐かしくも本格的なヤクザ映画でした。

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白石和彌監督役所広司松坂桃李江口洋介真木よう子らが演じるヤクザ映画孤狼の血・・・この映画をもう見た?まだ見ていないの?
5月の邦画1本目は、昭和63年の広島の呉原を舞台に、アウトローの刑事役大上省吾、通称「ガミサン」に役所広司が…、その相棒で若い広島大学出身の「学士様」の刑事役に松坂桃李が演じる、広島の組織暴力団の、五十子会系「加古村組」と地元ヤクザの組織「尾谷組」の抗争に、警察組織が絡んだヤクザ映画『孤狼の血(2017年、白石和彌監督、柚月裕子原作、池上純哉脚本)でした。イヤヤや私、やくざ映画が大好きなんです…。
 
映画の冒頭シーンは、丸々太った豚と糞の中を這い回る加古村組系の金融会社経理社員が養豚場で、殴られ仕舞には指を一本二本と切断される凄惨なリンチのシーンから始まった。いかにもやくざ映画らしいシーンの連続です。彼は後々離れ島で首と胴体を切断されて埋められていた…。山田洋次監督の家庭内のホンワカムードの家族ドラマとは一味違ったバイオレンスそのものの邦画、リック・ベッソン監督のスパイが命がけの肉体を衝突させ拳銃の打ち合いをするアクションサスペンスでもない、何か陰惨で憎悪と復讐と怨念と金で黒く塗りつぶされた、かつての「東映」のヤクザ路線の邦画文化を彷彿とさせる独特の、懐かしくも本格的なヤクザ映画でした。

広島県呉市のヤクザの抗争を描いた映画と言えば、言わずと知れた、菅原文太松方弘樹、梅宮辰夫、田中邦衛深作などの名優たちが熱演した東映深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズ(1973年、笠原和夫脚本、飯干晃一原作)が有名です。が、白石和彌監督の『孤狼の血』は、ヤクザ同士の広島抗争の二番煎じではないのか…ナと思いましたが、警察とヤクザの抗争と言っても良い、むしろアウトローのマル暴刑事の対ヤクザ抗争で、昔懐かしい東映やくざ路線の映画を継承した作品を久々に観たようでした…、まあ、北野武監督のやくざ映画アウトレイジ』シリーズよりも、やくざ映画らしい凄まじい迫力でした。これは主演の役所広司松坂桃李を初め、脇役の俳優ーたち、石橋蓮司江口洋介真木よう子竹野内豊ピエール瀧など、ドスの効いた新しいやくざ映画のスターたちが顔をそろえた迫真の演技ゆえなのだろうか…ナ、ベテランキャストたちが素晴らしいデス。

白石和彌監督といえば昨年公開されたサスペンスな恋愛ミステリー映画『彼女がその名を知らない鳥たちの主演女優の蒼井優が、第41回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞した作品があった。映画製作に脂がのっている監督なのかもしれません…ネ、次回作を楽しみにしてます。