木村拓哉はＴＶドラマの「ヒーロ」のようにアウトローの検事かな？？？と邪推していたが、ナント今回の検察側検事の最上毅は拳銃で別荘の近くの林道に誘って闇討ちして埋める復讐殺人をした殺人犯でした･･･
８月の紹介映画は昨日公開された作品です。ある殺人事件の容疑者として浮上したが、既に時効が成立した重要参考人・松倉重生（酒向芳）を廻る検察内部の先輩後輩の対立がストーリの骨子である裁判＆刑事映画『検察側の罪人』(２０１８年公開、原田眞人監督＆脚本、雫井脩介原作、柴主 高秀撮影）でした。映画のカメラワークが非常に良かったですね。あの映像構成はカメラマンの功績ですかーネ。特に映画の最初のシーンに幻惑させられました。
東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)と、既に有能なエリート検事として活躍している最上毅(木村拓哉)が主役です。沖野は彼の検察教官時代の教え子だった。彼は大田区蒲田で発生した螺子の町工場を営んでいる金貸しの老夫婦刺殺事件の容疑者・松倉重生を取り調べを任された。彼のサーポート役として事務室には若い美人の検察事務官・橘沙穂（吉高由里子）がいた。彼女は法学部時代の最上の学友で、今は義父の政界の大物議員･高島進国会議員の補佐役で衆議院議員になっている丹野和樹（平岳大）の抱える収賄事件の鍵を調べていた。橘は最上と丹野とのつながりと秘密を潜入調査によって探っていた。元々橘は週刊誌の腕利きフリーライターであった。
最上とは２３年前の殺人事件「根津女子中学生殺害事件」の被害者として以前関わりがあり、既に時効となったこの女子中学生殺人事件の有力容疑者の一人に大倉重生（酒向芳）が被疑者として浮上していた。この女子中学生は最上が昔、北海道で学生時代を送っていた学生寮「北豊寮」の管理人家族の一人娘で、勉強を教えていた初恋の少女・久住由季でもあった。松倉はその殺人の犯行をあっさり自供したものの、今回の老夫婦刺殺事件に関しては一貫して犯行を否認し続ける。時効成立の犯行は認めても、今最上が復讐の念さえ持っている現在立件したい殺人事件に関しては否認していた。最早時効が成立しているので罪には問えない‥。少女の殺人事件は殺人事件に時効が廃止された以前の殺人だった。2010年に刑事訴訟法が改正されて、死刑に相当する殺人罪の公訴時効が廃止された。言わば司法制度の問題点を突く映画といえます。枝葉末節の枝を払って残ったこの映画のテーマは、国会議員の収賄事件でも、検察内部の組織上の問題でもなく、殺人事件に時効なしという死刑制度改定後の、既に時効の成立した殺人犯の罪は問われずに野放しなのか…と問う司法問題の映画でした。
最上はこの時効の壁に阻まれ、既に犯行も自供した松倉の２３年前に犯した久住由季の殺人事件を裁くことができずに、暴力団のブローカ・諏訪部利成から手に入れたロシア製拳銃で、最上の祖父がいた別荘の林道に誘い込み、拳銃で射殺して埋めた…。最上と諏訪部の不思議な関係は、原作小説を読んでいないので詳細はよく分かりませんが、戦中時代に諏訪部の父が南方の前線インパールで戦死し、同じ戦場の太平洋戦争の犠牲者だった祖父が書いた体験小説『？』（恥ずかしながらこの小説の題名は記憶から消えてました。その内に文庫本から拾い出します。）という不思議な縁のようです―ネ。
さてジャニーズ事務所の人気タレント二人が共演するので、映画そのもののよりも以前に話題が沸騰しています。ＴＶで繰り返される映画シーンの宣伝で、映画館で観てなくても既視感が生まれますーネ。ハリウッドが映画斜陽になった時に導入した映画宣伝です。私は、また木村拓哉はＴＶドラマの「ヒーロ」のようにアウトローの検事かな？？？と邪推していたが、ナント今回の検察側検事の最上毅は拳銃で別荘の近くの林道に誘って闇討ちして埋める復讐殺人をした殺人犯でした･･･。新しい被疑者・弓岡嗣郎（大倉孝二）が捜査線上に浮かんだあとでも、彼は松倉を２３年前の少女殺人事件の犯人として復讐したいと確信していた検事です。その最上の捜査を疑う検事敵役が沖野でした。
ただーネ、ヤクザのブローカで最上に拳銃を渡した諏訪部利成（松重豊）の父親の戦地の戦争体験と、何度か映像になっている作家であった最上の祖父の戦中体験シーンが何度もクロスしていた。あれは何のためなのかな…？？？原作小説を読まないと理解できない部分でした。どなたか原作を読んだ方は教えてください…！！！
もう一つだけ欲求不満の中高年のために付言しておくと、吉高と二宮の濡れ場―シーンをもっと長く撮影してほしかったなー！！！一度目のキスは…、二度目からのキスは大人同士のキス･･･。そして二人の抱擁とセックスシーンか始まる。原作にはこんな言葉があるのかーナ。
