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山田監督の寅さんが22年ぶりの新作が公開されたので早速見に行きました。12月に紹介する作品は、シリーズ通算50作目の『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年公開、 山田洋次監督)でした。懐かしく見ている私も、観客もいずれも年を取ったが、スクリーンに登場している俳優もまた俳優としての長い年輪を重ね、まるで50年後に再開する昭和生まれの小学校の同窓会のようでした・・・。

1996年8月(68歳)に亡くなった「車寅次郎」役の渥美清さんは、4Kデジタルフィルムで修復されて甦った姿で出演、葛飾柴又の帝釈天門前にある老舗の団子屋「本家とらや老舗」の娘の諏訪さくら役の倍賞千恵子さん、とらやの隣にあるタコ社長(太宰久雄)の印刷工場で働くさくらの夫・博役の前田吟、満男役の吉岡秀隆寺男の源ちゃん(佐藤蛾次郎)、リリー役の浅丘ルリ子ら、おなじみの面々が再結集した映画でした。加えるに、四季折々、全国各地の風景、さまざまな人生を重ねたマドンナたちの競演も『男はつらいよ』の魅力でしたーヨ。

寅次郎の甥・満男の妻の七回忌に、おいちゃんおばちゃんの待っている「とらや」に一同が集まる。御前様の法事の後で昔話に寅さんも映像で登場する。満男は今は、娘・ひより(一般公募で抜擢の新人の桜田ひより)と一緒に生活していた。小説家に転進していた満男の前にある日突然、書店のサイン会に満男の初恋の相手イズミ(後藤久美子)が現れた。

あのアイドルのゴクミが、流暢な英語とフランス語で、国連の高等弁務官のキャリアウーマン役として働く、成熟した華麗な女性になって登場したのには、私は吃驚しました、エ~あの語学の堪能な女優は誰?後藤久美子なの…と驚きました…。彼女は今、フランス人F1レーサーのジャン・アレジと結婚して、スイス・ジュネーヴにある歴史的な城を改築し在住、3人の子供を育て、女優業からは一線を退いているという。映画にも久々の出演のようです。満男と泉の別れの際の空港でのキスは、なんとなく満男の恥じらいと躊躇いがありましたーネ。

それになしても桑田佳祐の寅さんのテーマソングは素晴らしいですーネ。渥美清の口調を真似たバックから流れる音楽は、まるで背後に寅さんが生き返ったように錯覚さえ致しました。寅さんは言うイエスのように死んだ後にスクリーンの中で復活しましたーネ。

チョット余談ですが、一冊の本を紹介しておきます。ナント何と、教会の牧師さんが書いた寅さんの姿と来歴はイエスキリストと似ているというユニークな映画論&宗教論で、『寅さんとイエス』 (筑摩選書 / 米田彰男著)というまじめな寅さん論です。だけど鉄矢が紹介すると、いちいち頷けるイエス=寅さん論です。彼の放送を一度聞いた私は、すっかりファンになりました。私も読みました本ですが、きっかけはあの水戸黄門のTVドラマの主人公にもなった武田鉄矢さんの朝のラジオ放送の«武田鉄矢/朝の三枚おろし»(文化放送、毎朝7:40~)で紹介された一冊でした。あの武田鉄矢の独特の講談調の語り口で、寅さんの魅力を満遍なく語られています。是非、下記YOUTUBEに全部が収録されてるので、映画と共に夜な夜な堪能してください・・・!!!私は一時期は子守歌にこの放送で眠っていました。序に鉄矢の縄文文化論も聞いてください、これも無類の聞く価値があります。(https://www.youtube.com/watch?v=wZwBm7lBZ4U)